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不動産投資物件 借地物件を考える

執筆者の写真: TakayukiTakayuki



前回の記事でもご紹介しました借地権付きの不動産投資物件(戸建て・テラスハウス)をうまく活用する方法を考えてみたいと思います。


まず、借地権についての基礎知識を入れていきましょう。


借地権について

まずこの法律は平成4月8月1日から施行された法律です。

「借地借家法」と呼ばれています。

従前は、「借地法」「借家法」「建物保護法」などを統合して「借地借家法」となりました。


たまに資料でも見かけますが借地借家法以前の借地契約の場合、「旧法適用」「旧借家法」などと言った表記がされています。この場合は従前の法律が適用されます。一般的には原契約の内容を引き継いだ継承になると思いますので原契約の内容を確認しておきましょう。


しかしながら、新たに地主と借地契約を結ぶ場合は現在の法律の適用となりますので旧法の考えは不要です。


現在の法律の条文の定めでは下記のとおりとなっています。


(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。

二 借地権者 借地権を有する者をいう。

三 借地権設定者 借地権者に対して借地権を設定している者をいう。

四 転借地権 建物の所有を目的とする土地の賃借権で借地権者が設定しているものをいう。

五 転借地権者 転借地権を有する者をいう。

※出典(電子政府の総合窓口)イーカブより抜粋


借地権には、地上権と呼ばれる権利と借地権と二つの種類があります。

このようなお取引ででてくるのは「借地権」が一般的なので借地権で進めていきます。


借地権者

地主より土地を借りている人の事です。


借地権設定者

地主さんのことです。


ここでは法律で定められた権利で、いわゆる登記することにより権利を担保することも可能です。

よく見かけるのは、金融機関等からお金を借り入れることで「抵当権」「根抵当権」と、呼ばれる登記がされています。これも単にお金を貸したという書面を取り交わすだけでは金融機関としては不安ですよね。

実際に登記事項証明書をご覧頂くとわかるのですが、ここに担保権(抵当権等)を登記することにより順位の保全を図ります。

ようするに、一番目に登記できればこの担保されている不動産を売却(競売)する際に誰よりも優先してお金を受け取る権利があるということです。

余談ですが、登記事項証明書に金融機関の名前が1番目から3番目あたりまで順番に記載されていれば、下になればなるほど受け取り出来るお金が少なくなるもしくは受け取り出来なくなる可能性があるといえます。


話は戻りまして、そのような担保権よりも先に登記をしておけば誰に対しても自分が一番に守られるということを周知の方に対して知らしめることができます。

では、地主に対して地主所有の不動産(土地)に対して借地権の登記を行っているのか?

一般的には登記することはほぼありません。どちらかというと借りる方を強く守る意味合いがあるのと登記費用が発生するため登記までされることはあったとしても稀なケースだと考えます。


それでは、借地権の契約をした後に担保権の設定登記がなされた場合どうなるのか?借地権の方が契約書の日付などで確認ができれば権利として守られます。


■借地権を知る

では、ご自身が地主として第三者と借地権の契約を取り交わす場合に気を付けるポイントは?

お部屋を貸し出すのと同じく、簡単に返してもらうことはできません。正当な事由が存在するが大前提です。そして、財産上の給付をする旨の申し出をしているかいなか?などかなりハードルが高いです。

お部屋の賃貸と違い契約期間も長くなります。

法律上の定めでは「借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。」と条文で明記されています。

そして、借地権の更新では「当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から十年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、二十年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。」とこちらも条文で明記されています。

読めばすぐお分かりかと思いますが貸す側よりも借りる側の権利が守られていることがわかります。

ですので、借地で土地を貸す場合は簡単に返ってこないことを分かったうえで貸すことが大切です。ただ逆に言うと長い期間借りて下さるので、安定した地代収入は期待できますよね。

月2万円の地代で貸し出しすれば年間24万円。30年の縛りで考えると720万円です。土地で持っているよりも建物が建っているので固定資産税等も安くなります。

上記の事から推測になりますが地代の所有者が相続で新たな相続人に引き継がれると長く管理するのが大変だということでそれならば建物所有者の方に買い取ってほしいという地主もでてくるわけですね。


■名義変更の際の地主の承諾

こちらは前回の記事でも書きましたが名義の書き換えのため手続きが必要です。その際には地主の承諾か裁判所が許可に変わる承諾を与えてもらう必要です。


■借地権での重要ポイント

あえて重要ポイントと記載していますが、皆さんご存じの方も多いかと思います。

それは強行規定として定められている条文です。

「第○○条~第○○条までの規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは、無効とする。」

この一文はかなり重要ですよね。

地主にとってはとても重要な事項であっても、借りる人に不利に働く特約は無効となるということです。

そうなるとそのような文言は入らないのか?っていうと、そうでもないです。

あくまでも個人間同士の契約なので特約に記載される方もいらっしゃいます。最終的に裁判所での争いとなった場合には無効として借主は主張できますが、実務的にはお互いの約束事項として記載されているケースがあります。


しっかりと借地権のことを理解してご自身が借りる場合と貸す場合と双方の決まりを知っておくことで主張できることはしっかりと主張できる。そのための準備も忘れないでくださいね。なんか権利関係がややこしい。そう思う方もいらっしゃると思います。逆に言えばそう思う方が多いため実は宝の原石が落ちていることも考えられます。だからと言って知識もないままに購入してしまえば失敗しかねないリスクもありますのである程度勉強してから取り組むようにしてくださいね。

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