前回は競売ビジネスにおいて相場観を養うためのお話を書かせて頂きました。 不動産投資 競売ビジネス4 落札者の名前を知っておくこと。 知るためには管轄する裁判所へ出向き落札結果を聞くことをお勧めいたしました。 競売の入札の場合も同じく、裁判所へ出向いて入札することをお勧めいたしました。 また、併せて入札書の提出時の注意点も紹介させて頂きました。 今回で第6回目となりますが、皆さんの中で競売に対するイメージはどうなってきたでしょうか? 全く知らないから怖い。どうしたらよいのかわからないから不安。 そのような考えをお持ちの方のイメージが少しでも低減していれば嬉しいのですが。 とはいえ、あくまでも手続き上の注意点が中心でしたので入札書を提出し、落札できた後のことを知らないとまだ不安だと思われる方もいらっしゃることでしょう。 落札後の所有者(占有者)とのやり取りは過去の記事でも書かせて頂いています。 そちらのページを見て頂けるとイメージが掴めると思います。 過去の記事はこちら 不動産投資 競売ビジネス3 両方の記事を見て頂くと大方の全体像はお分かりいただけましたでしょうか?
全体像のお話ができましたので、しばし私の経験した所有者(占有者)との交渉をご紹介していきたいと思います。 競売ビジネスにおける退去交渉 ■ケース1 私が競売ビジネスで一番最初に携わった競売物件のお話です。 入札前の現地調査では家族で入居中の区分マンションでした。 【ステップ1】 落札後に現地へ訪問するとすでに退去されたあとだと現地管理人より聴取。 管理人に転居先を聞いてもわからず。手紙を投函して帰るも連絡は入りませんでした。 【ステップ2】 まずは所有者(占有者)の行方を捜すことが先決事項です。室内の荷物の処分をするためには本人の同意を取り付けるためです。 しばらく待って連絡が入らないため、管轄裁判所へ記録簿の閲覧へ。 落札経験がある方はご存じだと思いますが、落札経験がない方のためにご紹介しておきます。 最高価買受人として確定すると、この度の競売が申し立てられた経緯、記録を見ることができます。 管轄する裁判所によって取り扱いが異なるようですが、大阪地裁本庁では閲覧のために手数料が必要です。 東京の裁判所では閲覧費用はかからないと当時は言われておりました。 手数料は印紙で納めます。裁判所では販売していないため事前に印紙を購入して持参しないと駄目なので注意してくださいね。 そして、記録簿の閲覧をすると直近で所有者(占有者)が記録の閲覧に訪れていた記録が残っていました。 ここでは本人確認と電話番号の記載があったため、その電話番号を控えて電話を鳴らしてみます。 電話を掛けたのが昼過ぎ。その後、夕方前にその電話番号から折り返しの電話が入りました。 ここでの目的は「アポどり」です。 あまり突っ込んだ話をしすぎると会えなくなる可能性もありますので、慎重にお話を進めてお会いする日程を決めました。 以前の記事にも書きましたが「所有者(占有者)との約束は守ってもらえないと思うこと。」 なので、なんとか会えるように話を進めることが大切です。 【ステップ3】 約束の日に待ち合わせて、お会いすることができました。 そこからこちらが必要な情報を聞き出しながら最終的に室内の荷物の処分を行える同意書を取り付けます。 今回はすでに退去が済んでいる方なので、室内からの退去交渉は不要でした。 対面した時の交渉のポイントは【所有者(占有者)に対して詰めすぎないこと】です。 落札後に何が怖いかというと、室内で命を落とされる方がいることです。 そのようになるケースとして、 ①家族で住んでいた。 ②嫁、子供が離れていって自分ひとり。 ③職を失っている。 この3点が揃う方が多いです。 なので、いかなる状況でもそのようになってもおかしくない環境が整っています。 実際に競売物件をずっと見ていくと同じ物件がでてくることがあります。 確かに落札された物件なのにどうしてかな?っと、3点資料を見ると、評価人の資料に新たな資料が付け加えれていて、室内で命を落とされた旨のコメントが入っていることがありました。 本当に競売で怖いのはこの点だと私は思っています。 そうならないために、お話の仕方や話し方は注意を払いながら、所有者(占有者)の心理状況や表情をみて話を一つ一つ進めていく作業が大切です。 今回の方は上記3点が揃っていましたが、比較的楽観主義者の方でしたのでその点も考える必要はありませんでした。 【ステップ4】 同意書の取り付け。 書面へ記入頂き、具体的な日付を入れてお家の引渡し日を決めます。 引渡し日までに室内の荷物をすべて処分して頂くように話をします。 ※この時にお家の鍵を受け取れるなら貰っておくのがよいです。ただ室内に荷物がある場合は難しいので、お話し合いの中でどうするかを考えるとよいでしょう。 【ステップ5】 鍵の受け渡し。 前職では、荷物の処分を行われる日に現地へ伺い、その場で鍵を受け取るようにしていました。 鍵の受領も無事に終われば退去交渉のミッションは終了です。
読んでみていかがでしたでしょうか? 簡単な流れだけになりますが、所有者(占有者)が見つかれば割と話が早く進んでいくケースもあります。 もちろん家族構成やご本人の置かれている状況でまったく異なります。 しかしお会いできた方では強制執行を行ったことは私自身が担当した案件ではありませんでした。 また室内で不幸なことが起こることもありませんでした。 気を遣う部分もありますが、慣れてしまえばそんなに難しい話でもありませんよ。 次回はあわや強制執行!になりかけた退去交渉のお話をさせて頂きます。
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