Takayuki
不動産投資 競売ビジネス8
競売の入門知識
競売の入札をしたことがある人で3点セットを知らない方は今ではいらっしゃらないと思います。
いわば誰もが公平に同じ情報を得られるツールであり、唯一の情報でもあります。
そのためその3点セットを理解されずに入札をされる方はいないでしょうね。
今回は3点セットのおさらいをしておきたいと思います。
①期間入札の公告
②物件目録
③物件明細書
④現況調査報告書
⑤評価書
3点セットを細かく分けると上記項目になります。
それぞれ順番に見ていきましょう。
①期間入札の公告
これは入札期間や開札期日、売却許可決定期日。買受申し出の保証の提供方法など入札、開札の案内が記載されています。
入札日や開札期日は見間違うことはないと思います。以前入札回数が多かったときは月に3回開札があったりしましたので、並行して調査していると期日を間違えかねないので期日が間違いないかの確認で見ていたくらいです。
固定資産税、都市計画税が記載されているので、そこだけチェックすればよいかと思います。
重要性はないので確認程度で大丈夫です。
②物件目録
これは資料中でしばしば登場します。
どこで登場しても記載されている内容は同じものです。
ここには競売になっている登記されている情報が記載されます。
簡単に言うならば登記事項証明書に記載されている内容が転記されていると思って頂いても良いかもしれません。
ただし、物件の主だった概要だけになります。競売の対象物件が何なのか?それくらいです。
③物件明細書
この中には、
1.不動産の表示
2.売却により成立する法定地上権の概要
3.買受人が負担することとなる他人の権利
4.物件の占有状況等に関する特記事項
5.その他買受の参考となる事項
上記が記載されています。
簡潔に書かれていますので、どのような内容が書かれているか確認しましょう。
入札する際に影響する事項も記載されていますので、流し読みでなくどのような権利関係があるのか見るようにしてください。
④現況調査報告書
ここには裁判所の執行官が兆歳下記録が掲載されています。
ほぼ全員がここに書かれていることを確認して、
・どのような人が占有、所有しているのか?
・リスクがあるのかないのか?
・入札するか否か?
ここでまずは皆さん独自の基準で選定されていると思います。
順番に見ていきますと
1.まずは不動産の土地や建物の占有状況やそれぞれの概要の調査内容のコメント等が入っています。
中でも
「占有者及び占有状況」
こちらの項目は必ずチェックしてください。
所有者が所有していたり
占有者が占有していたり
賃借人が使用していたり
破産管財人が管理していたり
リスクの程度がここでも図り知ることができます。
2.その他の事項
こちらには郵便ポストや表札に誰の名前があるのか否かがあります。
黒塗りで潰されていたら裁判所へ出向いて原本を確認すれば氏名等がわかります。
土地や建物の現況がどうなっているのか?
調査した結果がコメントとして記載されています。
建物の不具合なども記載されているので内装費用を考えるうえで参考にもなります。
3.関係人の陳述等
こちらには先ほど書きました、所有者、占有者などより聞き取りできたコメントが記載されています。
正直、文字に書かれたコメントなので客観的に判断するしかありませんが、一般的な方が所有されている場合は、普通のコメントのみになっていることが多いです。
例えば、家族で住んでいます。や、私が借りて一人で住んでいます。などです。
少し怪しいなぁと思われてくるのは、主張するコメント量です。
例えば、賃貸の場合で良くあるのは、契約書はありませんがいつ頃から住んでいます。など、そもそもあって当たり前のものがないとはどういうことなのか?
昔、私が経験した時に焦ったのが一つありました。
6か月猶予がついている物件を落札した時のお話です。
※6か月猶予とは
抵当権に遅れた賃貸借契約です。その場合落札してから6か月間は住むことが認められている権利。期間中住み続ける場合は落札者へ家賃を支払うことは必要です。
この時の資料には、私(母)と息子たちと3人で暮らしています。とコメントが入ってました。そのうちの息子たちはまだ未成年の学生とのコメントでした。
なので、てっきり3人家族で住んでいると思って現地へ訪問した時にびっくり。
そこに掲載されていない方が登場されました。
それはまた別の機会で退去交渉のお話でさせて頂きます。
なので、ここに記載されていることが100%正しいわけではないので、ある程度の予測が必要だということです。
4.執行官の意見
ここも入札するうえで大切なコメントが書かれています。
例えば
家族で住んでいると認められる。
占有者の主張は認められない。など
それぞれ様々なコメント入ります。
ただ、所有者が占有している。このコメントがある場合は、おおむねややこしいことはありませんでした。
5.調査の経緯
ここでは執行官の調査記録の日時等が記載されています。
私が見るうえでポイントにしていたのは、調査にかかった日数と、立ち合い時に不在だったのか否かを主に見ていました。
6.物件資料
法務局で取得できる、公図、地積測量図、建物図面、現地図、間取り図、現地写真
これらが添付資料としてついています。
ここでも個人情報に絡むものは黒塗りされていますので、詳細を確認したい方は裁判所にて確認しましょう。
数が少ないですが、現地写真を見て室内のコンディションを確認します。以前にも書きましたが最近のカメラは写りが良いので写真を信じてはダメです。
写真のイメージから3割減程度のイメージにしておきましょう。
また、室内の家財道具やレイアウト、色合いなどで住んでいる方がどんな方かイメージできるので写真に写っている細かなアイテムなども見てみるとよいでしょう。
⑤評価書
こちらは不動産鑑定士が作成します。
ここには物件の特徴や法的制限などが記載されています。
一般住宅や投資物件ともにですが、購入前にこれだけ揃った資料を見ることはないです。
競売ならではの資料、情報量です。
落札後が自己責任となるため調査した記録が開示されていると思いますが、これだけの情報を購入前にみれるならば安心です。
こちらにも、土地、建物それぞれでの調査記録が記載されています。
執行官の調査事項と重複している箇所もありますが、再度こちらでも内容を確認しましょう。
実際に競売価格の算定過程も記載されています。
こちらの内容は好きな方は目を通して頂ければと思いますが、落札後の資料として使えるのは、収益物件の分析表などは利用できるかもしれませんが、その他としては重要度は多くないと考えます。
読み込むポイントを押さえて競売物件として魅力ある物件か否かを判断するとともに、不動産鑑定士が作成した評価書で物件の概要を確認すること。ここでも書きますが、購入前にこれだけの情報を得られるのは競売のみです。
情報が多いということは考え方次第では購入者にとってプラスに働きます。
しかし、ここに記載されていることがすべてではないことも理解したうえで入札をしてくださいね。