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  • 執筆者の写真Takayuki

不動産投資 競売入札シミュレーション5



さて今回も前回と同じく京都地裁本庁の入札物件から入札シミュレーションの競売物件を見ていきたいと思います。


収益物件としてはいかがなものかと思いましたが、占有者の滞納額が半端なかったので、この場合どのような入札になるのか?


最終的な落札結果も含めて検証したいと思いましたので取り上げさせて頂きました。

競売の入札を考えるうえのリスクは占有者の退去が一番の問題です。


恐らく一般の方は入札を見送る案件だと思います。


なので!


今回は取り上げました。


 

今回のサンプルは、


京都地裁本庁

開札期日が令和2年4月23日

■事件番号|令和1年(ヌ)第96号

■売却基準価額|5,580,000

■買受申出保証額|1,116,000

■買受可能価額|4,464,000

 

では、3点セットを見ていきましょう。

3点セットで順番に目にするところからご紹介しますね。


 

①期間入札の公告(表紙)

■固定資産税:47,737円

■都市計画税:11,965円

合計:59,702円


 

②物件明細書

5.その他買受の参考となる事項

【物件番号1】

隣地(地番65番9)との境界が不鮮明である。

【物件番号2】

管理費等の滞納あり。


 

③現況調査報告書

■占有者及び占有状況

建物所有者が本建物を居宅として使用している。

■管理費等の状況

・管理費月額7,800円

・修繕積立金月額5,850円

・遅延損害金年15%

■滞納額

平成18年4月~令和2年1月まで

4,872,769円

■管理費等照会先

○○管理組合(以下「債権者」という)

※3点セットには「○○」の所に債権者である管理組合の名称が入ってますが、今回は「○○」と表記させて頂いています。

※債権者と書かれていることに気づかれましたか?金融機関が返済できずに競売の申し立てをしたのではなく、管理組合自らが未払い金に対して競売の申し立てを行ったレアのケースです。

※金融機関が申し立てをした場合は事件番号も(ケ)とつきますが、それ以外の場合(ヌ)なども登場します。

■その他の事項

1.室内で小型犬が一匹飼育されている。

2.バルコニー西側の仕切り版に穴が開いている。東側の仕切り版は一部が外れている。

3.洗面室の壁にキズがある。


■関係人の陳述等

1.債務者及び債務者の夫

①債務者と債務者の夫が住んでいます。

②債務者の夫から債務者に賃料等の支払はありません。

③目的建物内で小型犬を一匹飼育しています。

④バルコニーの仕切り版は昨年の台風で破損しました。

⑤リース物件、所有権留保物件等、他人の物は取り付けていません。

■管理会社紹介回答要旨

①管理人はいません。

②ペットの飼育はできません。

③大規模修繕の予定はありません。

④民泊禁止規定があります。

⑤管理規約等で区分所有者に請求できる旨の定めがある費用以外で徴収している費用として、水道代(2か月分の基本使用料3,391円)及び未収水道代の遅延損害金(年5%)があり、令和2年1月10日現在で債務者の滞納額合計は166,546円です。


■執行官の意見書

1.債務者が目的建物を居宅として使用し、占有していることが認められる。

2.関係人の陳述等及び立ち入り調査の結果から、2ページのとおり認定した。

※ここででてくる2ページとは「現況調査報告書」の2ページ目を指しています。


■執行官の調査の経過

令和元年12月24日~令和2年1月17日

※債務者と債務者の夫と面談記録がありました。


 

④室内の写真

写真を見る限り特に気になるような物は見当たりませんでした。

室内のお荷物が多い気がしますが、部屋数が二部屋なのでそれなりなのかとも思います。


 

⑤評価書

■位置・交通

地下鉄東西線「二条」駅の北方・道路距離約1.6km

■主な公法上の規制等

①商業地域

②建蔽率80%、容積率400%

③準防火地域

■画地条件

間口約29m/奥行約35m

■接面道路の状況

北東側幅員約13m接道(42条1項1号道路)

■総戸数|26戸(うち、2戸は店舗)

■建築年月日|昭和55年8月

■経過年数|約39年

■経済的残存耐用年数|約6年

■構造|鉄骨造5階建て

■エレベーター1基、駐車場無し

■管理組合等

・管理組合あり

・管理会社あり |株式会社ARC建物管理(委託管理)

・管理状況|やや劣る

■特記事項

・修繕積立金の額|3,058,076円(令和2年1月現在)

・近い将来の大規模修繕計画の有無|予定無し

・建築確認・完了検査あり

・建築計画概要書を見るに、当該建物の高さは現行法上の高さ規制を超過しており、既存不適格建築物に該当するものと思料する。

※建築当時は適法な建物でしたが、法規制の改正に伴い既存不適格建築物になったようです。


■評価人の評価額

14,660,000円

→この度の競売物件の状況と占有状況から修正がはいり、「5,580,000円」が売却基準額となったようです。


 

以上が3点セットに掲載されいる内容の要約です。


今回は収益計算になじみにくいですが、一応計算してみたいと思います。


①まず、改装内容を考えてみると

設備に関しては最低限の取り換えと表装改装をイメージして100万円上限とします。


②落札時にかかる経費として60万円


③滞納金として

4,872,769円+166,546円=5,039,315円

少し多めに見て520万円としておきましょう。

遅延損害金が発生しているのでかなり上昇する気もしますが。。。


①+②+③=680万円


続いて入札額を出していくのですが、


今回の100万円の改装を行って賃料9万円/月額と設定しました。


収入としては、

9万円×12ヵ月=108万円です。


利回り15%計算で算出すると

108万円÷15%=720万円です。


入札するための最低価額が買受可能価額なので、

4,464,000円(買受可能価額)+6,800,000円(落札時の経費)=11,264,000円


ずばり、最低でもこの金額は考えておかないといけません。


表面利回りでみると

1,080,000円÷11,264,000円×100=9.58%


表面で10%を割り込んでしまいます。

競売の落札後にかかる労力を考え得るならあまり良い数字ではありません。


今回は収益よりも実需向けの転売業者が落札しそうな物件ですね。


なので、今回の入札シミュレーションは実需の場合で計算してみます。


再販価格2080万円(全面フル改装)


仕入原価+改装費+自社利益=1100万円


2080万円-1100万円=980万円


落札の目線で考えると「1010万円」この辺りではないかと考えます。


こちらも開札結果が出ましたらご報告いたします。



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