前回、前々回と私が行った入札シミュレーションの記事を書かせて頂きました。
今回は競売ビジネスにおいて成功する秘訣を考えてみたいと思います。
その前に、各裁判所から公示されている競売物件の入札もこの緊急事態宣言を受けて、入札が停止となりました。
私は、大阪地裁本庁での入札シミュレーションをしているので、「BIT」で検索したところ、「変更」の文字が表示されており、一覧が表示されているもののすべて「変更」のコメントがあるのみ。
恐らく緊急事態宣言に伴う処置だろうと思いながら、管轄の裁判所へ問合せしました。
問合せ先は「執行官室」と呼ばれる部署があります。
そちらへお電話すると入札関係のことは教えて下さいます。
結果、やはりコロナウイルスによる入札を控えているとの事でした。
いつまでか?
今の所再開予定の目途はたっていないそうです。
ますます不動産市場としても閉鎖的になってきました。
すべて見てはいませんが、緊急事態宣言で指定された都府県では同様の扱いかと思います。
さて、競売ビジネスにおいて成功する秘訣は私の経験上、データ活用による入札が一番の効果を発揮すると考えています。
データ活用とは?
BITをご覧になられた方はご存じの方も多いと思いますが、過去の事例が3年分閲覧できるようになっています。
但し、詳細な資料ではなく、売却結果の形式なので詳細は分かりません。
しかし、区分マンションだと所在地が同一なので比較することが容易です。
なので、戸建てや土地に比べて比較しやすいのは区分マンションです。
実際に私が行っていた業務をご紹介させて頂くと、BITで物件の公開がされるとすべてのPDFデータをダウンロードします。
ダウンロードを行うのはできれば、公示されたその日のうちに行うのがベストです。
翌日以降となると、取り下げが行われだすため詳細がわからなくなるためです。
専門の商材をご購入される方はそちらで資料が手に入るので不要かと思いますが、入札機会が少ないのであれば、無駄な経費になりますのでBITからのダウンロードで十分かと思います。
そして、入札する物件が特定されるならその情報を蓄積していくと入札の相場が養えます。
不動産市場の場合、賃貸にしろ、売買にしろ、相場という言葉を用います。
周辺の成約事例などから現在取引されている価格はいくらくらいだと設定されますよね。
しかし、競売物件の場合、再販目的で行われる物件については相場があってないようなものとなります。
理由は入札価格によって販売価格(再販価格)が設定されてくるからです。
実例で見ると、相場よりも高くても売れているケースもあれば、相場通り、もしくはそれ以下で売買されていることもあります。
いうならば売買においてはそれ相応のリスクが存在もしますが、高値での取引が行われる可能性があるということです。
ただし、その時代の景気にも連動しますのであまりにも高すぎる物件はやはり売れません。
賃貸貸しを目的とした場合は、近隣の賃貸相場の影響は受けやすいです。
なので、実需取引と収益取引では落札される金額に差がでています。
こちらについては今後も入札物件のシミュレーションを通して検証していきますね。
私はが主に実需で購入される方向けの競売物件を入札していましたので、そちらを対象としたデータを集めて入札をしていました。
以前にも少し触れましたが、私が競売ビジネスに携わってから1件目の落札を行うまで約3か月間を要しました。
また、それまでに調査した物件は約50件近く。
落札できるまではデータを活用せず、現地調査と近隣の不動産会社へのヒアリングのみで入札をしていました。
それをもとに入札をしても100万円以上離されて落札ができませんでした。
その原因は何か?その原因を考えたときに
①自分自身不動産業界が初めてなので相場がわからない。
②入札物件の特徴がわからない。
③同業の不動産会社の話を聞きすぎる。
④競売の見えないリスクに怯えていた。
この4点が主だった原因でした。
その対処法として
①自分自身不動産業界が初めてなので相場がわからない。
これについては、レインズなどの過去成約事例をみたり、BITの売却事例をみることで自分なりの目線を養いました。
※但し、気を付けないといけないのが落札するための入札額では駄目です。出口ありきの入札額を決めなければ意味がありません。
②入札物件の特徴がわからない。
これも同じく過去の成約事例から高く取引されている事例とそうでない事例を見て当初は学んでいました。結果的には一般の皆さんと同じ目線で考えることが大切だと気付きました。
言うなれば、自分が住みたいと思える物件を選定することでした。自分が住みたいと思わない物件はやはり人気は低いです。
これは収益物件を選ぶ場合も同じかもしれません。自分が借りて住みたいと思わない物件でしたら借り手は少ない。それはおおむね間違いない基準だと今は感じています。
③同業の不動産会社の話を聞きすぎる。
やはり不動産のプロなので間違いない数字を教えて下さいます。
なので、教えて頂いた内容で落札できるならば絶対に損はしない!
これは言い切れる自信があります。
とんでもない数字を提示される方に私は出会ったことがありません。
やはりその点はプロとしての意識の高さかと感じました。
なので、言い換えると多くの方が入札する金額と横並びになり得るということです。
これは④競売の見えないリスクに怯えていた。
ここにも通じるんですが、失敗したくない、損を出してはいけない。不安が不安を増殖させていくので失敗するなら安パイで入札して落札できたらラッキー。
それでよいかと当初は思っていました。
本当にそれでいいのか・・・
事業を行う上では、0点ですよね。
何も生み出さないために時間をかけていてはもはや子供の使い以下です。
その殻から脱皮するために行ったことは何か?
競売ビジネスを行っていた時は必ず同業の不動産会社から相場は聞いていました。
ただ聞き方が変わりました。
以前までは、
①再販するには幾らくらいだったら売れますか?
②最低幾らだったら売れますか?
③周辺の人気はどのような程度ありますか?
④入札する物件を検討頂けるお客様いらっしゃいますか?
主にこの4点を聞いていました。
変更後は、
①③④は同じです。
変わったのは②のポイントでした。
②最低幾らだったら売れますか?
これは、出口戦略を考えるうえで誰もが考えるリスク回避ですよね。
最低限幾らであれば売れるのか目安がでれば、あとは、その最低限の時に自社の利益をどれくらいに設定するかで差が出ます。
これは入札される会社によって異なりますが私が勤めていた会社は仕入れ強化を行っていた時は10万円まで下げて入札をしていました。
この点を
「幾らだったら売れる可能性があるのか?」
この質問へ切り替えました。
そうすると相談に乗って頂く不動産会社の反応が変わりました。
何が変わったのか?
以前の質問形式だと、どこから聞かれても同じ回答をされていたわけです。
なので入札額は横並びになっていました。
また相談に乗ってくれる担当者も決まり決まった回答で終わっていました。
ですが、この質問に替えると
担当者自らが考えてくれるようになりました。
リフォームはどこまで手を入れますか?簡単な改装なのか?設備を入れ替えるのか?
その程度によって売れる金額を考えてくれるんです。
質問もヒートアップしてきた時は、「宝くじが当たる確率くらいだとどこまで再販価格は伸ばせるのか?」
そんな質問もしました。
話をまとめていくと
①過去の事例のデータ活用
②不動産会社への質問の変化
この2点を変えることで落札率もアップし、さらに売却に関しても協力頂きやすい環境ができました。
しかしながら上記は実需での入札時には適していますが、収益物件では同じような効果を得れません。
それは落札してもその不動産会社への見返りがないためです。
収益物件の落札を狙う場合は、何よりも周辺相場の認識とご自身が描く利回り。
この2点を軸にして進めていかれるのがよいかと思います。
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