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執筆者の写真Takayuki

不動産投資 競売占有者とのエピソード2



今回は、私が競売に携わっていた時の占有者のエピソードを書いていきたいと思います。


今までも少しエピソードを書いてきました。


過去の記事はこちらから



↑こちらでは競売事件の中でも(ヌ)の事件番号で起こったエピソードを書いています。

一般的な債権者(金融機関)が申し立てを行った事件ではなく、それ以外の方が申し立てを行った事例でのエピソードです。

よければこちらも併せて読んでみてください(´▽`*)


 

今回取り上げるのは競売によくあるシチュエーションなんですが、一味違うお話です。


落札した物件は分譲マンションのファミリータイプのお家です。


お住まいも家族3人で住まわれていた方のお家を落札しました。


私自身競売のお仕事に身を置いて1年半くらいの出来事やったと思います。


新たに会社に新人の男の子が入社してきたので彼と共に占有者交渉を行いました。


いつものように、落札の確認をして裁判所へ出向いていきます。


「売却許可決定の写し」をもらいに行って、競売の入札に関わる簿冊を閲覧ですね。


そして、会社から占有者に対してお手紙を投函しました。


またまた、今回もいつものように占有者から連絡が来ませんので、現地へ直接訪問です。


エントランスがオートロックのマンションなので、エントランス入り口の呼び出しでお部屋の番号を押して呼び出ししますが、誰も出てきません。


いらっしゃっても居留守を使うケースと、お仕事や用事で外出されていることも多いので特に問題ありません。


初回のチャレンジなので無理はせず、集合ポストへ改めてお手紙を入れて、バルコニーを見に行きます。洗濯物が干しているのかどうかのチェックです。


これがシンプルかつわかりやすいですよね。


洗濯ものがあれば日常生活しているのは一目瞭然なので、まずは引越しして行方が分かならいそんなことはありません。


そして、忘れてはいけないのは現地管理人さんへのご挨拶です。

調査の時にすでにご挨拶はしているので覚えて下さっている管理人さんも多いです。


オートロックのマンションでも管理人さんの呼び出しがあったりしますので、そちらで管理人さんを呼び出して、落札した旨の報告をしておきます。


ここでも無理はせず、今日は占有者にあいさつに来たけど不在やから帰りますと。せっかく来たので管理人さんへも今後のことがあるので挨拶に来ましたと伝えておけば後々もスムーズに進めることができます。

落札したことを聞いた管理人さんは割と話もしやすくなるので、警戒心が薄くなっていれば現在もまだ住んでいるかどうかなど聞いてみるとよいです。


お手紙を入れて翌日、翌々日まで待って連絡がなければ


2回目の訪問は時間を空けずに、時間帯を変えて訪問します。

お昼の12時から13時の間にいってはいけません。

多くの管理人さんはその時間帯は昼休みなので対応してもらえないからです。


そのため、管理人さんとは会えることを考えていくのが良いです。

また、朝一や夕方ギリギリも避けた方がいいです。

朝はごみの日などでしたら席を外していることもありますし、夕方ギリギリだと帰り支度をされているケースもあるので貴重な情報を得ることができなかったり、マンションの中に入れてもらえないこともあるからです。


私が訪問する時は午前中なら10時~11時。午後からなら14時~16時を狙って訪問してました。


2度目の訪問でも残念ながら会えず、今回は手ぶらで帰ることができませんので管理人さんへ断りを入れて直接お部屋の玄関まで行ってインターホンを鳴らしました。


それでもお返事がなかったので、今回は玄関扉に直接手紙を貼り付けて帰りました。


この手法はかなり高確率と言いますか、ほぼ連絡が頂けます。


翌日に占有者から電話を頂いたのでお会いするためのアポ取りをします。


本来であれば占有者が住む家ではなく外でお会いしたかったのですが、家が良いとのことでしたので仕方なく物件へ出向き面談を行いました。


その場での話し合いは比較的スムーズに話が運び、書面を取り交わして退去日を決めました。


ここまでは、日常的な業務でしたが。。。


約束の引越しの日の朝に占有者から電話が入りました。


電話の内容は、


「もうあきません。死にたいです。引越しできません。」


そんな電話が入ってきたのでびっくりして、後輩を連れて二人で現地へ向かいました。


インターホンを鳴らすと本人が応じて中に入っていくと


引越し業者の方がいてたのですが、なにやら引越し業者は怒っています。


引越し業者が帰った後に本人に聞くと


引越しの荷物の準備ができてなくて、荷物を運べないことに苛立っていたそうです。


そらそうですよね。引越しの仕事をしに来たのに引越しの準備をしていないなんて。


普通怒りますよね。


私「何があったんですか?」


占有者「引越しするために準備してたけど荷物がまとめきれなくて。」


私「それは前から引越しする日が決まってたから準備されていたのと違うかったんですか?」


占有者「一人では片づけられなくて、朝、嫁と子供に手伝いに来るようにお願いしたら断られたんです。」


占有者「ほやから、もう一人ではどうにもならなくて、こんなこともできない自分が情けなくなって死にたいと思ったんです。」



占有者には申し訳ないですが、そんなことでここで死なれたらたまったもんではありません。

しかし人間一人になって追い込まれていくと正常な考え方ができなくなることを感じることができました。


こうなってくると、簡単に死なれては困ります。

部屋で死なれることもそうですが、こんなことで命を落とされるようなことがあってもいけません。


「わかりました。私たちがお手伝いするので一人ではないですよ。」


そう言って、その場でお引っ越しの荷物を一緒にまとめていきます。大方の荷物は片付いたので、後は自分ひとりでできそうだということで私たちの作業は終了しました。


引越しの荷物をまとめるお手伝いを終えて、次回引越し日を決めて引越し業者へ再度連絡を入れてもらいその日は帰りました。


引越し前日にも電話を入れて明日は大丈夫か?気持ちは落ち着いているか?

そんな会話をしながら引越し当日も朝から伺うと言って電話を切りました。


引越し当日の朝。引越し業者が来る1時間前に家に訪問。


前回片づけて帰ってから、後は自分で片づけると言っていた荷物がそのままでした。


そこからまたまた後輩と二人手伝って最後の荷物をまとめます。


持って行かないといけない荷物を中心に捨てても良い荷物は最悪私たちが処分すればよいと思ってラストスパートです。


なんとか引越し業者が来る前に荷造りもできて引越しは無事に完了しました。


ただ、ここでもおまけがあって、細かな荷物は自分の車で運ぶということで、荷物を車まで運びましたが、2,3度往復しないと運べません。


なので、引越し先まで一緒に車に乗って、家の中へ荷物を運びこみ、運び終えたらまた家に戻って荷物を積みを繰り返し、なんとか最後の荷物を運び終えることができました。


私よりも年上の方でしたが、


「簡単に死ぬなんて言っててはダメですよ。命があれば何度でもやり直しできますから。心機一転頑張りましょう。」と言葉をかけてこの度の占有者交渉は終了しました。


 

ここでの学びが


①占有者は約束を守らないと思って接すること。

②最悪のケースは室内で無くなる可能性があること。

③占有者は家族との縁が切れると自暴自棄になったり、思考がおかしくなること。

④占有者は誰かの助けを求めていること。

⑤男と女。結局は男の方が弱い生き物だということ。


落札した物件で似たような事例に遭遇した時は、占有者を詰めすぎず、一緒に問題解決をしてあげることで前進していきます。ご参考になれば幸いです。



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