top of page
  • 執筆者の写真Takayuki

不動産契約書を読み解く2




前回は、個人間取引で気を付けてほしい契約書の条文をご紹介しました。


今回からは契約書に記載されているひな型からどんなことが契約で決められているのか見ていきましょう。

ここで書いている内容は私が使用している、見たことがある契約書について勝手に書いています。ここに書いていることがすべてではありませんし、ここに書いていないからその契約書が間違っているわけでもありません。

契約書を提供している先が作成したものを我々はひな形として使用していますので、くれぐれも偏った見方にならないようにお願いします。



■契約書の見出し

ここに記載されているのが、取引する不動産の情報が記載されます。

記載される内容も、土地、戸建て、マンションなどによって異なります。もちろん、それぞれに適用したひな形があります。

今回ここでのテーマとして紹介するのはマンションでのバージョンでご案内します。


◆1枚目には

マンションの建物の情報や土地の情報などが記載されます。

この内容は何を元に書いているのか?

不動産の全部事項証明書(不動産業者は、謄本って今でも読んでいます)に記載されている内容をそのまま転記しているだけです。

転記間違いがあると困りますが、お取引の際に添付書類として、この全部事項証明書も頂けますのでその内容と見比べてもらうとよいでしょう。


ここには、普段目にしない数字や番号などが記載されています。


所在、地番、家屋番号、敷地権などそんな用語がでてきます。


○所在・地番とは?

ざっくりで言うと、皆さんが普段見ている住所みたいなものです。

不動産の場合は一つ一つその番号が付けられています。なので、この所在を覚えて頂いても普段の生活で書く機会がほぼありません。

どちらかと言えば住所を覚えておくほうがよっぽど普段の生活で役立ちます。

地番は昔からあった番号で、住所は後から郵便局が郵便物を届けるために使用するためできた制度です。なので、住所の場合は、お隣さんと同じ住所の方もいてませんか?ちなみに我が家は3件並びの家すべて同じ住所です。

また、地域によっては地番と住所が同じ地域もあります。これは不動産会社んへお尋ねして頂ければすぐにわかります。



○家屋番号とは?

建物に対して与えられた番号です。土地は土地、建物は建物で番号があります。

こちらも普段は使うことが無いので覚えなくても良いです。


○土地が所有権ではない場合、借地権の表示がされます。

土地が借地権の場合は、管理費、修繕積立金以外に土地の利用料として「地代」がかかってきます。

また、将来建て壊しが必要となるための「取り壊し費用」なでも積み立てされているケースもあります。



◆2枚目には


取引の内容が記載されます。

①売買代金や手付金の額、支払日など。


・売買代金の総額

売主が個人の場合は消費税がかかりませんので、消費税欄は空白です。

売主が法人や宅建業者の場合は消費税額が記載されます。

但し、土地のみの取引の場合は売主が個人・法人関係なく消費税欄は空白です。

※土地は非課税なので消費税がかかりません。消費税がかかるのは建物に対してです。


・手付金の額

これは契約を締結する証として買主から売主へ支払う金額です。前回書きましたが、契約書の条文で「無利息」がなければ法定利息が発生しますので注意です。こちらの項目では金額のみを記載しているので、内容は条文をチェック!


・中間金の額

通常の中古の分譲マンションや戸建ての場合、ほぼ記載されることはないでしょう。


・残代金の額

手付金(中間金)を差し引いた取引額の残代金を記載しています。また、それと併せて支払日も記載されています。

通常の取引の際は支払日は余裕を見た日程で記載します。なので、この支払日までであれば、準備が整えばお取引はできます。

逆にこの支払日以降になると契約書のまき直しや、期間延長の覚書を取り交わすことになります。

実務上では稀にこの取り交わしは行われています。


②その他の約束事項

売主から買主へ名義を変更する日にちを記載しています。

これは、先ほど説明した最終の支払日と同じ日付になっています。


・公租公課の起算日

これも前回書きましたが、関東と関西で起算日が異なります。

関東は1月1日

関西は4月1日


・手付金の解除に関する期限

こちらは売主が宅建業者でない場合、期限があります。

皆さんも耳にしたことがあると思いますが、

買主から解除をすると、手付流し。

売主から解除をすると、倍返し。

倍返しと言っても、もとの半分は預かっていたお金を戻すことなので実際には買主と同じ額を支払うことです。

この期限を過ぎると手付解除ができなくなり、違約解除(損害賠償)での解除となることに注意が必要です。


・違約金の額の定め

上記書きました通り、手付解除ができなくなった場合は、違約解除となります。

不動産取引の場合、おおむね契約時にこの違約金の額を定めることが主です。

金額は様々で、手付金の額、売買代金の10%、20%。だいたいがこの3パターンです。

これは契約者の内容や動向を見て定める場合もあれば、会社単位で一律定められている場合などがあります。


・反社会的勢力にかかる違約金等

契約時、契約以降に反社会的勢力であることが判明したり、反社会的勢力の方に物件を転売、賃貸などをした場合に発生する違約です。

最大で100%全額返金になる記載です。


③融資利用される場合の定め

こちらには、融資を利用される場合、その借入をする金融機関の内容が記載されます。

契約時の読み合わせの場合さらっと流れていくことも多いのですが、意外にここ、重要です。


書かれている内容を見てみると

・融資申し込み先

→こちらには金融機関の名称が入ります。1行の場合もあれば、複数行の記載がある場合もあります。複数行の記載がある場合は、いずれかの金融機関で条件が良い金融機関を選択されるために記載もされますし、中には買主が希望している金融機関と不動産会社が斡旋する金融機関と併記されていることもあります。


・融資承認予定日

→契約終了後、金融機関にてローンの本申込みを行い、その本承認を得るための期限が記載されています。

こちらは支払日よりも前の日付になっています。なので、この日付よりも後ろにずれ込むと契約自体はすぐに白紙解約にはなりませんが、また別の調整が必要となります。


・融資金額

→融資金額は買主によって様々です。

様々な理由は売買代金が違う。それではなく、取引される物件の価格だけの方もいれば、リフォームするための費用、家を買うために必要となる諸費用など、お借入れする内容が異なるので融資金額が異なります。


・融資期間

→一般的には35年。そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、年齢を重ねていくと最終の返済できる年齢があります。

概ね79歳まで見てもらえます。逆算すると44歳までであれば35年のローンが組めることになります。

しかし、買主のお勤め先や勤続年数、年収などの要件によっては変わる恐れがあります。

44歳で購入される方は事前に金融機関や不動産会社さんへ相談してみるとよいでしょう。


・融資金利

→ローンを借りる際の金利です。

こちらも上記で書きましたがご本人の内容によって異なります。


④融資利用予定総額

→融資金額でも書きました内容がこちらでも再度でてきます。

また、融資承認が下りなかった場合の解除期限も定められます。

この日付までであれば住宅ローンが下りなかったことで白紙解約することもできますし、限られた期間で別の金融機関へチャレンジすることもできます。



なぜこの項目が重要なのか?

買主保護の観点からみると、非常に大きな意味があります。なぜならここで決めた内容でローンの承認が下りなければ白紙解約ができるからです。

一番考えやすい例で言うと、金利面です。

事前に聞いていた金利が1%とした場合、実際に申込をしたら1.5%で承認が出てきた。通常ではこのようなことは起こりにくいですが、万が一起こった場合、契約上金利は1%としていたので、条件が違うため白紙解約するか高い金利でそのまま進めるかの選択ができるようになります。

そのような意味からも非常に重要な取り決めであることがお分かりいただけるかと思います。


⑤買主の自主ローンの定め

不動産会社から紹介を受けて住宅ローンを申し込む方が大半ですが、中にはご本人自らお申込みされる場合もあります。

この場合は、買主保護というよりも売主保護の観点が強いと思います。

住宅ローンの可否は買主にとって重要ですが、手続きをしっかりとしないで、融資承認の期日が過ぎてしまうと、それまで待っていた売主が迷惑を被ることになります。

なので、しっかりと約束を守ってもらうため、買主自らが住宅ローンを申し込む場合にはその最終期日が定められます。

0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page