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  • 執筆者の写真Takayuki

不動産契約書を読み解く5



前回に引き続き契約書の条文のお話を書かせて頂きます。


今回も契約書の条文を見ていきます。

ここで書いている内容は私が使用している、見たことがある契約書について勝手に書いています。ここに書いていることがすべてではありませんし、ここに書いていないからその契約書が間違っているわけでもありません。

契約書を提供している先が作成したものを我々はひな形として使用していますので、くれぐれも偏った見方にならないようにお願いします。


今回は契約解除に伴う項目を見ていきましょう。


■手付金解除について

こちらは以前よりご案内している通りです。

この手付解除ができる期間の定めがあればそれまではお互いに手付の額をもって、取りやめることができるようになっています。

買主は手付流し(お渡ししている手付金を放棄すること)で契約解除。

売主は手付倍返し(受け取っている手付金を返還し、さらに同額を上乗せして)で契約解除。

※この場合でも仲介会社が介在していれば仲介手数料の支払義務が生じますのでその点ご注意ください。


■危険負担について

危険負担、日常では聞きなれない言葉ですよね。

ようするに、お取引日で不動産を買主へ渡すまでの間に何かが起こった場合の対応方法を決めています。

なので、基本的には売主・買主どちらの責任でもないことで問題が起こった場合を想定しています。

例えば、台風や地震などで家が倒壊してしまった。

そうなると、引き渡すための不動産がなくなっていたり、思っていた利用ができない。そうなると買主はその不動産を買う理由がなくなりますよね?逆に撤去や修復するためのお金がかかってしまます。

その場合はこの契約を解除できるようになっています。この場合では仲介会社が介在していも仲介手数料は発せしません。


後は、一部損壊などでも修復ができる場合は、修復して引き渡すことや修復するために本来予定した引渡し日から遅れても承諾するなども決めごとが当初から入っています。

また、売主サイドでは修復する費用が高額で修復するための資金が用意できないなどの事情が発生した場合は、売主からも解除できる定めがあります。

手付金の取り扱いは、無利息で買主へ返還することになります。預かっていた手付金額をそのままご返金となります。


■契約違反による解除について

先でもご説明しました手付解除。この手付解除の期間を超えてしまった場合は、この契約違反による解除が適用されます。

以前にご案内しました通り、損害金の額が予め契約書で定めていることが大半です。①手付金の額②売買代金の10%③売買代金の20%などです。

そこで定めた損害金の額を支払うことで契約を解除することができます。

よっぽどのことが無い限りこの契約違反による解除になることはないのですが、緊急性を要する場合はあり得ます。

私の経験では1度だけあったのが、契約も滞りなく済み、住宅ローンの本承認も終え、銀行に住宅資金の借入の契約まで終えて、後はお取引日を待つのみ。そんなお客様だったのですが、お取引日前日に急遽転勤の事例が・・・

ご本人さんも悩まれましたが住むことができない家に住宅ローンを組んで毎月返済は厳しいとの判断。

前日に取りやめとなりました。

この契約違反による解除の場合は、仲介会社が介在してる場合、仲介手数料が発生します。

ご本人さんの立場に立てば申し訳ない気持ちになりますが、最後までお取引完了までに動いてきたわけですから仲介手数料を頂戴することとなります。頂くことができなければその期間中のお仕事がボランティアになってしまうため会社としては難しい判断です。


通常の契約違反として考えられる事例としては

売主

買主が代金の全額を支払っているのに物件を引き渡さない。

そもそもその他の条文で引き渡すことが書かれているのに引き渡してもらえない時点で契約違反が明確です。

住宅ローンを利用していて、その担保権を抹消する手続きに協力しない。

こちらも先ほどと同様に契約書の条文で記載があります。担保権が残ったまま名義のみを変更することは手続き上は行えても、実務上ではありえません。なぜなら自分の所有する不動産が他人のために担保として取られているわけです。また、買主側も住宅ローンを利用すると思うので、そうなると貸し出しする銀行が怒ってしまいます。

なので、実務では抹消できる書類がしっかりと受け取りができることが確認してからお手続きはされています。


買主

売主がいつでも不動産を引き渡せる準備をしているのに残代金の支払いをしてくれない。


共にそれぞれに事情が発生したのですぐに契約違反での解除を主張できるわけではありません。

相手方に期間を定めて催告することが必要です。

その催告しても協力してもらえない時に初めて契約違反による解除の主張ができるようになることに注意しましょう。


違約金の考え方


例:売買代金が3000万円。違約金の定めが10%。手付金の額が100万円とした場合。


○買主側からの解除(売主側が協力してくれないことによる解除)


売主は預かっていた手付金100万円を買主へ返金します。そして、違約金の定めによる3000万円の10%、300万円をプラスして買主へ返金。合計400万円を返金することになります。


○売主側からの解除(買主側が協力してくれないことによる解除)


買主より預かっている手付金100万円はそのままで、違約金で定めた300万の内、手付金100万円を差し引いた200万円を買主は売主へお渡しすることになります。


手付解除と考え方はほぼ同じです。

お互いに決めた違約金の額を支払うことで契約を解除することとなります。


こちらでは違反による解除として条文の定めがありますが、原則としては、引き続き買主側では不動産の引渡しを求める事、売主側であれば代金の支払いを求めることができます。

売主・買主共に違約による解除を求めるのか引き続き引渡し・代金の支払いを求めるのかを選択することになります。


■反社会的勢力の排除について

手付解除や契約違反による解除よりも条文は長く書かれています。

それだけ反社会的勢力に対しての取り決めが厳しいことが伺われます。

内容については

①当事者が暴力団員に関係する人間ではないことを確約すること。

②反社会的勢力の方に利用させてはいけないこと。

③告知している内容に偽りがあった場合には「催告なく」解除できること。

※契約違反による解除では、催告する期間が必要でしたが、反社会的勢力に該当する場合は必要が無いと定めています。

④契約解除された場合の違約金の取り決め

違約金として売買代金の20%、違約罰として売買代金の80%なので100%全額を買主は売主に対してさらに支払うことになります。またそれに加えて名義を移した不動産も売主の名義へ戻すこと(返還)が必要なります。


この場合も仲介手数料は発生します。


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