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  • 執筆者の写真Takayuki

不動産契約書を読み解く8




最終回は売買契約の中でも大切な特約事項についてみていきます。


ここで書いている内容は私が使用している、見たことがある契約書について勝手に書いています。ここに書いていることがすべてではありませんし、ここに書いていないからその契約書が間違っているわけでもありません。

契約書を提供している先が作成したものを我々はひな形として使用していますので、くれぐれも偏った見方にならないようにお願いします。


●特約って?

まず、特約の意味をご理解いただきたいのですが、契約書本文に書いている内容の補足として記載することもあれば、契約書の条文に書いている内容と違う意味になるということを書き足したりしています。なので、契約書の条文を見て終わりではなくそれに続く特約事項に目を向けておかないと聞いた聞いていないという問題になりかねません。

しっかりと大切な取引なので目を通して意味を理解しましょう。


●特約に記載される内容は?


定番で記載されるのは

①周辺の土地・建物について

近隣に立っている建物などは合法的に建替えされることがあります。そうなると例えば隣が平屋建てやったので、日差しが入るし、風も通るそんな所が気に入って買ったのに、翌年家が建替えされて日差しが入らなくなった。こんなケースが考えられます。

そのために、特約事項には合法的に建替えされることがあるので予め承知してくださいね。と、文言が入ります。

②将来の法改正について

現在の法律では規制がなくても、将来的に法律で規制が決まった場合は、現在と同じ条件で建て替えなどができない可能性があることを記載しています。

多くの人は「そらそうだ」と理解下さると思うのですが、現在の契約書の特約記載事項として、多くの方がそうだろう。と、思われることも上記と同じく記載される傾向です。

③アスベストについて

アスベストを取り締まる法律が平成17年7月1日から施行されました。それまでに建てられた建物ではアスベストを使用している可能性がある建物が存在します。もし、アスベストが出てきた場合の取り扱いを記載しています。

④火災報知器について

こちらも消防法の改正により住戸に設置する義務が決められました。設置個所はそれぞれで異なります。設定されていない場合は設置をしましょう。分譲マンションの場合は、組合で全戸設置をされているところが多いですが、稀に設置が個別のケースもありますので設置されていない場合の取り扱いを確認しましょう。

⑤引き渡しにかかる事項について

通常の取引では、お部屋の内覧をされた状態で(中に荷物がある場合は運び出して空にして引き渡す)お部屋の売却をします。それに付随して、改修などをしないまま引き渡すため、汚れ、キズなどがあることを買主は承知の上購入する文言が記載されます。

また、目立ったキズや当初より告知している内容があれば、再度こちらでも文言として記載することで買主に周知をします。

⑥瑕疵担保責任について

こちらは契約書の条文でも出てきました。

一般消費者同士の取引の場合、こちらでも重ねて記載することが多いです。


以上がほとんどの特約事項で目にすることが多い文言です。


●続いて、融資条件や物件、時期によってでてくる特約事項です。


①物件価格以上の融資利用の場合

例えば、物件価格が2000万円とした場合で、リフォーム費用300万や諸費用200万も借り入れる場合です。

本来であれば物件価格の2000万円のローンが下りれば売主との売買契約は成立して物件を譲り受けることができますが、住むためにリフォームが必要なケースや、購入するための諸費用が足らずそちらも借入しないと購入できない。そんなケースもあります。

そうなると、2000万円だけローンが下りても買うことも住むこともできませんよね?

なので、2000万プラス300万リフォーム代金プラス200万諸費用の合計2500万円で住宅ローンを申込します。

そして、この2500万円全額のローンが下りなければ契約が白紙になることを特約で記載します。いわゆるローン特約です。

②持ち家からの住み替えの場合

この場合も上記のローン特約と同じような意味合いで、売却して新たに家を購入する場合が該当します。売却代金でローンを返済して次の新しい住まいを購入するんですが、売却が決まらないと買うことができないですよね。そのために万が一、売却ができない場合は、契約を白紙にする定めの文言を記載します。

売却の契約が先に住んだからといって、この文言も次の購入の契約の特約に記載しないと、万が一売却の方で買主が突然購入できなくなってしまって契約解除になった場合、購入する物件も同じように購入できなくなるため契約違反になります。しかし、この文言が入っていれば白紙解約できますが、入ってなければ契約違反として違約金の対象となりますので、くれぐれも注意してください。

③住み替えについて

上記より無事に契約、決済ができた場合。次の新居へ引っ越すための時間が必要となります。この期間が無いとお引っ越しができません。

例えば、3月31日に売却の決済をしました。同じく同日に購入する決済をしました。お金の動きは問題ありませんが、人が動くためには大きな問題があります。物理的に同日に引越しをするのはほぼ不可能です。そのため、それぞれの決済が終了して、売却したお住まいの引越しのために1週間、2週間、1ヵ月など決済によって名義は売主から買主へ移っていますが、お引っ越し間瀬の猶予期間を設定します。その引き渡しまでの猶予期間を記載しています。

④住み替えに伴う税金や管理費等の取扱い

本来であれば決済の日をもって、それぞれの日割精算をするんですが、決済が終わってからも住み続けるため、実際に引き渡す期日にて精算するのが一般的です。

先程の例で行くと、3月31日に決済はしますが引越しは4月10日としたら、本来は3月31日で精算するのを4月10日で精算します。この精算額は一般的には決済時にご精算することが多いです。


見て頂いてお分かりいただけましたでしょうか?

補足説明として記載する内容、重ねて説明している(再確認)記載事項、取引条件に付帯する修正事項などを特約事項を使って記載しています。


なので、ここに書かれている事項で不明な点はしっかりと説明を聞いて納得してから契約しましょう。

説明が長いため疲れ気味ではあると思いますがご自身の大切な不動産のためです。頑張りましょう!


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